スポーツ×テクノロジー - Flying

テクノロジーの進化によって、スポーツという言葉はどんどんとアップデートされています。既存のスポーツが進化したり、新たなスポーツが生まれたり。そんな、ワクワクするスポーツ×テクノロジーという分野をウォッチし、皆さんとそのワクワクを共有したい。そうして生まれたのが、Flyingです。

最新のテクノロジーを最も積極的に導入しているフットボールクラブ、それは……?

現代サッカーは資金力がチーム力に直結する傾向にあり、欧州各国のリーグでは少数の強豪クラブがスター選手を買い集め、寡占的に優勝争いを繰り広げることが多くなっています。

 

一方で、単純な資金力ではなく、様々なテクノロジーを活用しながらビッグクラブに対抗しようとするチームもあります。ドイツの一部リーグブンデスリーガに所属するホッフェンハイムは、その代表的なチームと言えるでしょう。

  

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参照: https://i.ytimg.com/vi/6-y-sDEIMb8/maxresdefault.jpg

 

 

ホッフェンハイムは、現日本代表でガンバ大阪に所属する宇佐美貴史の前所属としても知られていますが、1899年に総合スポーツクラブとして設立され、1945年にサッカー部門が設立されました。しかし、そこから1989年に至るまでは7部から9部を行き来する、いわゆる「町クラブ」に過ぎないチームでした。

 

しかし1990年、同クラブでプレーしていた選手であり、同時にドイツ最大手のソフトウェア会社SAPの創設者でもあったディットマー・ホップがクラブのパトロンとなり、ホッフェンハイムは強力な経済的バックアップを背景に2007-2008シーズンに1部への昇格を果たしました。

 

冒頭でも述べたとおり、ホッフェンハイムは独自の強化戦略をとっており、クラブの強化資金を主に選手の獲得ではなく、練習場などの設備投資や育成部門、そして試合分析やスカウティング用のデータバンクのために投じています。そのため、クラブには有望な若手選手が集まり、最近ではブラジル人のロベルト・フィルミーノをブンデスリーガ史上最高金額の4100万ユーロでリヴァプールへと売却しています。

 

さて、豊富な資金を投じて作り上げられた、ホッフェンハイムの最新鋭の練習施設にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

その代表的なものとして、香川真司の所属するボルシア・ドルトムントも導入している「フットボーナウト」が挙げられるでしょう。

 


Footbonaut - High-Tech Training bei der TSG Hoffenheim

 

「フットボーナウト」は14メートル四方の箱型施設で、中に入った選手に対して8カ所から選手に向けボールが飛んでくるというものです。選手はアラート音で、どこからボールが飛んでくるかを判別し、72枚のパネルのうちの指示された正しい場所をめがけて蹴り返します。ボールコントロールの向上には非常に効果的な練習施設だと言えるでしょう。

 

また、現在ホッフェンハイムはSAP社と共同で新たな設備「ヘリックス」を開発中で、これは180度の巨大スクリーンを前で与えられた課題をクリアしていくものだそうです。ドイツの女子サッカーの選手がこの設備を体験してみた様子を撮影した動画がSAP社によって公開されています。

 


Bundesliga Women Enter the Helix

今はまだちょっと不気味にも見えますが、将来的にはゲームのように楽しみながら技術を向上することができる設備へと進化していくのでしょう。

 

現在ホッフェンハイムを率いているのは、なんとまだ28歳のユリアン・ナーゲルスマン。今季のホッフェンハイムは彼のもとで、急速にデータの活用を進めています。


ブンデスリーガ・ホッフェンハイムの秘密兵器-センサーデータを活用した選手のパフォーマンス解析

 

サッカーとテクノロジーを結びつけ、ホッフェンハイムフットボール界にどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。ホッフェンハイムの一大プロジェクトから、今後も目が離せません。

 

 

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